「公契約法」制定が急務に

 

全法務省労働組合 中央執行副委員長 八重倉 忠

2008年4月より、登記事務の証明書等発行部門が順次全面的民間委託に

 私たちの働く法務局では、職員数の不足から登記事務の証明書発行部門の一部業務を民間委託で処理してきました。しかし、政府は「市場化テスト法」に基づき、この業務処理を全面的に民間委託することを決定し、本年度から順次全国の登記所で実施してきています。
私たちは、証明書等発行部門の担い手を、2~3年ごとに競争入札により決定される業者に任せることは、この事務が全国で統一性・継続性・安定性が求められる重要な行政事務であることから反対を表明してきました。
 この立場は引き続き変わらないものの、「法律」を根拠に現に実施されてきている全面的民間委託に対しては、①登記制度の信用・信頼を確保し、行政サービスの「質」の低下をさせないこと。②受託事業者従業員の雇用と労働条件を確保すること。等を当局に強く要求し、より増しな民間委託となるよう取り組んでいます。

低価格競争入札で悪化する受託事業者従業員の雇用・賃金・労働条件

 競争入札により決定され本年4月より実施となった職場(全国22の登記所)の民間委託は、昨年度の試行結果を踏まえ一定の条件の下で実施されていることもあり、登記行政サービスの「質」は概ね確保されています。しかし、受託事業者従業員の雇用確保や労働条件については、「市場化テスト法」に何の規定もないため、それまで働いていた委託職員に失職や労働条件の切り下げなどの事態が発生してきています。
 市場化テストは、公務行政サービスの担い手を低廉価格競争により決定する仕組みであり、納税者・国民からすれば低価格で受託事業者を決定する競争入札は、歓迎すべき方法かもしれませんが、低価格競争により委託した行政の「質」が低下するようなことになっては、経済取引の安定や国民の安全・安心は確保できません。
 また、2~3年ごとに繰り返される低価格競争は、受託事業者の経営にも深刻な影響を与え、従業員の雇用・賃金・労働条件の悪化を引き起こします。

「公契約法」の制定が急務

 私たちは登記行政への民間参入が、「市場化テスト法」により競争入札で具体化しつつある状況にあって、受託事業者従業員の雇用安定と、適正・公正な賃金・労働条件などを守るためには、「公契約法」(ILO94号条約の批准)制定が急務と考えています。
 さらに、効率的で国民本位の行政、「質」の良い行政を確保するためにも、「公契約法」により、行政の担い手の労働条件の水準が確保される必要があると考えています。