何でも「官から民」で国民生活は大丈夫?
危険な「民間開放」

 

「儲からないから撤収」では地域住民はどうなるの?

 今、国の役割をごく狭い分野に限定しようといううごきがあります。しかし、国民の基本的人権を実現し、地域間などの不均衡を是正し、暮らしやすい社会を作り、維持することは、国が直接行うべきことです。また、職業安定行政についてもILO条約で、国の機関の指揮監督下で身分保障された公務員によって担われることが求められているなど、公共性の高い業務は、国が直接行わなければならないものです。
 今、進められている「民間開放」は国の責任を放棄し、企業に対して利潤を提供するだけのものです。

「マニュアルさえあれば登記は弁護士や司法書士でも可能」

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学習の友12月号(学習の友社)から転載

 規制改革・民間開放推進会議は登記事務の民間開放についてヒアリングの中で「公正・中立・公益性の担保に関しては、法律上または契約上受託者にその用件を課すことで十分に対応できるものである。また事務処理能力に関しても、弁護士や司法書士が一定の研修や研さんを受けた上で、マニュアルが整備されていれば行うことができるものであり、登記事務の民間開放に関し検討すべきである」としています。また、「規制改革・民間開放の推進に関する第一次答申」の中でも同様の主張をし、「マニュアル整備をすれば登記の民間開放は可能」としています。

本当にできるの?
登記事務は民営化にはなじみません!

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「民間開放ありき」「民間開放できるよう法体系を見直すべき」という現在の流れは非常に危険なものです。私たちはこれまで以上のたたかいが求められており、組合員1人ひとりがたたかいに結集していくことが大切です。(写真=2004秋闘全法務法務局支部独自上京団行動より)

 12月24日に公表された、「規制改革・民間開放の推進に関する第一次答申(案)」において登記は、「民間開放に関し検討すべきである」とされています。
 しかし、登記は経済活動の基盤ともなる信用制度です。登記官によって、厳正に審査され登記簿に登記されてこそ中立・公正な制度が維持できます。登記官は建物の認定や土地の筆界特定など裁判官なみの強い権限を有し、国民の財産の安全・安心を守っています。登記官がこれらの権限を行使できるのも、独立した国家の機関としての地位を有しているからです。こうしたことから登記は民間開放できる事務ではありません。