法務省における平成26年度の定員査定結果について(声明)

全法務省労働組合中央執行委員会

 政府は12月24日、平成26年度予算政府案を閣議決定しました。

 平成26年度の定員査定は、海上保安庁・防衛省などの安全保障・治安分野や成長戦略に関わる増員を優先的に措置する一方で、依然として踏襲されている「国家公務員の総人件費削減」の政府方針が、これまで以上に貫徹された極めて厳しい結果となりました。
 また、11月15日に閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱いについて」において、「(給与改定・臨時特例法による)給与減額支給措置については、…平成26年3月31日をもって終了する」こととされる一方で、「我が国の厳しい財政状況に鑑みれば、総人件費の抑制など行財政改革を引き続き着実に推進しなければならない」という認識のもと、「国家公務員の定員については、…平成26年度予算において、現行の合理化計画の目標数を大幅に上回る合理化を達成する」こととされた結果、当初の定員合理化△4,927人に△420人が追加されました。
 給与改定・臨時特例法については、その違憲性が指摘されているばかりでなく、法律に定められた給与減額支給措置の期間を道守することが当然であるにもかかわらず、それを口実として定員合理化を追加することなどは、何ら合理的な根拠のあるものとはいえず、到底容認することはできません。
 結果として、国の行政機関全体においては、概算要求の内容が極めて厳しく精査され、増員要求6,290人に対して△1,203人の定員純減となりました。

 法務省の定員査定は、増員要求1,085人に対して770人の増員が措置されましたが、平成25年度における1,014人の増員を大幅に下回る結果となりました。
 また、定員合理化については、例年△964人の水準であったところ、平成26年度の「前倒し」として平成25年度に追加された△223人とともに、△39人がさらに追加されたことに伴い、実質的に△1,006人という例年を大幅に上回る規模となりました。
結果として、平成26年度の定員合理化が△783人にまで増大し、法務省全体で△13人の定員純減となりました。

 各部局別においては、更生保護官署が26人、入国管理官暑が64人の定員純増、少年院・少年鑑別所が定員純増減0人となりました。
平成25年度との比較においては、政府方針として治安分野への増員が重視された結果、更生保護官署や入国管理官署などにおいて一定の定員純増が確保されたものの、諸情勢に対応するための各種施策の実施体制を踏まえれば、必ずしも十分なものとはいえません。

 法務局においては、いわゆる実施部門の要員確保につながる官職を優先的に増員すべきであるという全法務の要求などを踏まえ、登記官16人の増員が得られたことをはじめ、「いじめ」対策の重要性などがクローズアップされているなか、人権において2年連続の「ゼロ査定」となっていたところ、3年振りに2人の定員純増が確保されました。
 また、法務局全体で35人の増員を確保し、「平成22年度以降の定員管理について(新たな定員合理化計画)」の最終年次という厳しい局面において、定員合理化△8人の追加が強行されたなかにあっても、定員純減を△153人にとどめられたことは、全法務の増員闘争の成果といえます。
 しかしながら、すでに法務局においては、これらの定員純減を受入れることのできる職場はーったりとも存在せず、国の出先機関としての機能・役割の重要性を踏まえれば、僅かばかりの増員要求を「満額査定」しなかった政府の姿勢は、その実態を直視しようとしない極めて不当なものです。
 一方で、諸般の理由から東日本大震災復興特別会計における増員要求が見送られたことは、自ら被災しながらも復興事業に尽力している現地の職員の努力に報いるものではなく、今後増大することが見込まれている復興事業の実施体制や要員確保の在り方などに課題を残しています。

 11月15日に閣議決定された「公務員の給与改定に関する取扱いについて」においては、「内閣人事局において、国が果たすべき役割を踏まえ、今後の総人件費の基本方針、新たな定員合理化計画を策定する」とされており、平成26年度の定員査定結果とともに、看過できない重要な問題を含んでいます。
 とりわけ法務局においては、これまでの幾度にもわたる定員削減計画により、平成10年度以降は定員純減が継続し、平成18年度から平成22年度までは、全国10,253人の定員の内、1,588人の定員削減が強行されるとともに、「平成22年度以降の定員管理について(新たな定員合理化計画)」においても、各年度ごとに中規模の法務局をそのまま喪失させてしまう規模の定員純減を余儀なくされています。
 一方で、国の財政赤字が国家公務員の総人件費と相関関係にないことや、先進諸国と比較して国民人口あたりの国家公務員が極めて少数であることなどを踏まえれば、「国家公務員の総人件費削減」に固執・偏重している現在の「行政改革」は極めて不合理なものであるといわざるを得ません。
 政府は、各府省の増員要求にあたって、定量的な指標を根拠として業務量を算定することに固執し、そうした業務の定量化が困難な行政ニーズ、を排除するとともに、増員要求を門前払いするかのような硬直的な姿勢に終始する一方で、自らは定量的かつ合理的な根拠を明示しないまま、無秩序な定員合理化を強行しています。
 これら行政管理責任を放棄するかのような政府の定員抑制政策に伴い、行政執行体制の脆弱化を招いているばかりでなく、職員の労働条件の観点を踏まえれば、行政サービスの低下を回避するため、恒常的な長時間過密労働を余儀なくされるなど、職場の疲弊や繁忙が限界の状況となっています。
こうした実態を踏まえれば、すでに政府の定員管理政策が破綻しているといわざるを得ず、平成27年度以降の「新たな定員合理化計画」などの策定は到底容認できるものではありません。

 全法務は、行政サービスの向上と組合員の労働条件の改善、さらには東日本大震災からの復興事業のための要員確保などをめざして、全国津々浦々で増員闘争を展開してきました。
 国会においては、「『法務局』『更生保護官署』『入国管理官署』『少年院施設』の増員に関する請願署名」について、2009年まで30年連続による採択を実現し、第183回通常国会や第185回臨時国会などにおいても継続的に採択を勝ちとってきました。
 また、2013年秋期年末闘争においては、国公労連が提起する「総対話MAP運動」との連携を追求しつつ、法務行政相談活動などの取り組みを展開するとともに、国会議員要請や地方議会要請などのさまざまな行動をつうじて、法務行政の役割や職場の繁忙実態を訴え、行政執行体制の拡充を図るため、国民世論の構築などをめざして奮闘してきました。
 厳しい職場環境や衰えることのない「公務員バッシング」のなか、増員闘争に結集された全国の組合員のこれまでの奮闘に心から敬意を表するとともに、引き続き職場・地域を軸としたたたかいに決起することを呼びかけます。

以上